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ナオ 体験談


兄貴、それは違うって。
ちゃんと話を聞いたわけじゃないやろ

――ナオさんは、ダルクにつながってどれくらいになるんでしょう。

来月で一年なんです。今、+一か月ですね。
自分は今年で三十六になるんですけど、初めて覚せい剤を使ったのは大学生のころです。そのころから「ダルク」って名前は知ってたんですけど、言葉を選ばすに言うと、「ダルクの人って、自分で薬をやめられない人たち」って。でも、「俺は自分の力でやめられるんや」って思っていました。

――大学生のときに、どうやって薬に出会ったんですか?

高校を卒業して大学生になったときに、友だちの作り方とか、どうやって人と話すんだっけ?みたいな感じになってしまって。めちゃくちゃ明るい性格でもなかったので、「もう一人でいいや」ってなったんですね。大学の四年間って、家族以外に誰とも話さないっていう、本当にひどいことになってて。それまでも生きていて楽しいなって思ったことはなかったけど、就職活動も失敗して、彼女とかもできなかったし、うつもあって、孤独で苦しくて、いちばん病んでた時期でしたね。自分はすごく真面目な人やって、反抗期もなかったんです。だから、極端にそういう方向にいってしまったって感じですかね。
初めて使ったときのことはよく覚えてます。ものすごい罪悪感。
親の顔とか思い浮かべて、「テレビでやっているようなものに手を出すなんて」なんて思いました。だけど、そのときは「死にたいけど、死ぬのは怖い」みたいな、生きていたくもないし、自分の命を捨てたくないって、それくらい壊れてたので、罪悪感はあったけど、それよりも…。精神的に追い詰められて追い詰められて使ったって感じで。

――そこから薬を使い始めて、ダルクにつながるまでどんな生活をされていたんですか?

そこから十五年ですね。その間は、「自分で薬をやめるんだ」って、仕事をするようになったり、欲求に負けて一週間だけ使ったり、でも、「やっぱりがんばれる」って仕事をして、結婚して離婚をして。結婚しているときは幸せやったんですけど、離婚って悲しいじゃないですか。それで、離婚したときも一日だけ使って。だけど、現実は変わらないなって、当たり前ですけど。
僕は薬を使ったら、仕事をブッチしてしまうような人で、スリップのたびに仕事を自分で壊し、人との関係も壊し、それをやり直すってことをしてきてるんです。離婚してから、三、四年ですかね、働いて、彼女も作って別れてをしてきました。ここに来てわかったんやけど、自分にとって愛って、自分のさびしさとかを埋めてくれる人、薬のこととかも忘れさせてくれる人を探してただけだったんですよね。最後は自暴自棄になって、好きでもない人と付き合ってみたけど、でも結局、「やっぱり好きじゃない」ってなって、仕事もうまくいかず、お金もなくなって、また引きこもりのようになってしまって。薬は使いたかったけど、薬じゃない幸せが欲しくて、何もかも嫌になって…・。底つきの時期やったと思います。

――そこでダルクにつながった?

そうですね。それまで自分は、周りを恨んでたんです。「俺の何がわかる」と。幸せそうな人をうらやんで、憎んでいたし、「助けて」って一度も言ってこなかった。それでも、薬を使って楽しかったらそれでよかったんですけど、やっぱりアディクトなので、うまく使えなくなるんですよね。それである日、薬の切れ目に、今まで彼女にしてきたこととか、自分の人生とか何もかもに限界が来たんです。薬を使っても、現実を受け入れられなくなって、そのとき初めて、弟に薬のことを打ち明けたんです。
弟とは四つ違いなんですけど、一年前、「助けてくれ」って弟に、というか、初めて人に「助けてくれ」って言いました。
弟が自分を拒絶するような人だったら、もっと崩れていったと思うけど、本当に弟には助けられましたね。弟は自分のことを否定しなかったんです。「薬、買いに行ってしもた」って言っても、「しゃーないやんか」って言ってくれて、何時間も話を聞いてくれたり。その中で「兄貴は同じ思いをした人の話を聞いたことがあるんか?」って言ったんです。ネットとかよく見てたし、そんなので「たくさん見てきた、読んだ」って言ったら、「兄貴、それは違う」って。「ちゃんと話を聞いたわけじゃないやろ?兄貴も自分の話をしたんか?自分の話をしたわけじゃないやろ?」って言うんですね。それがきっかけで行ってみようかなと。十五年かかったけど、「俺はこのままやと絶対、いつか使う」って、十五年かかって認めたんですよね。

――実際に来てみてどうでしたか?

自分はうつとかパニック障害とかを持ってたから、抗不安薬を手放せなかったんですけど、最初の日は、久しぶりに人とかかわったっていうのもあって、緊張してトイレの中で一錠のんで、やっと話せるって感じでしたね。だけど、これまで一緒に薬を使う仲間もいなかったし、ずっとひとりで使ってたんで、薬を使った者にしかわからない、具体的なエピソードとかを話す機会なんてなかったから、それをミーティングでばーっとしゃべって、みんなの話を聞いて、「俺だけではなかった」と。自分で殺していたような思いとかも、話したことはなかったし、聞くのもテレビとかでしかなかったから、解放感じゃないけど、なんて言うんですかね、救われたような気分になりましたね。最初は、「欲求が入ったときに、みんな、どうやって対処してるんだろう」っていうのを聞きにここに来たんだけど、いい意味でそうじゃなかった(笑)。自分を受け入れるとか、ここがだんだんと自分にとっての居場所になってきたり、いい意味で、欲しかった答えじゃないものがありました。

――ミーティングにはすぐに慣れましたか?

そうですね。最初は薬にまつわる話を無我夢中で話していたと思います。でも、ここに長いこと、来ている仲間って、薬の話をぜんぜんしてないんですよね。それは自分でも気が付いていくんだけど、「昨日、こういうことがあった」とか、「こういう人にこんなことを言われて嫌だった」とか、「これ、楽しかった」とか、あれ?薬以外の話もしているなって思って。薬のことを話してすっきりしたら、薬じゃなくて、自分の生き方の問題というか、何が生きづらかったんだろうかとか…。そういえば、働いているとき、「嫌われたくない」っていうのがあったんですけど、それは自分を守るための方法やったとか、たとえば、彼女にしてきたこととか、過去に自分がしてきたことを話すようになったり、ミーティングで話すことは変わってきましたね。

――ダルクには通っておられるんですか?

はい。生活保護を受けながら一人暮らしをして、ここには自転車で通っています。
最初のころは、自分の過去を呪ってたし、自分を責めて楽しむことができなかったけど、ここで釣りとか植物を育てたりとか、趣味に出会って楽しむことを覚えたというか。僕、むちゃくちゃさみしがりやなんで、ひとりで釣りとかするのはさみしかったんですけど、それがここで埋まったんで、ひとりで釣りに行ったりとか、好きなことをする日々を送れています。

――この一年の変化はとても大きいものでしたね。

「たられば」の話ですけど、ダルクにつながってなければ、僕は死んでたと思います。それは薬のオーバードーズだったかもしれないし、自殺してたかもしれないし、精神的な死だったかもしれない。
弟はたくさん助けてくれたけど、それだけでは無理で、ここに来てちょっとずつ自分を受け入れる、受け入れさせてもらったって感じですかね。ここに来てまだ一年だけど、仲間のおかげで、薬を使っていた自分を許すっていうか、なんて言うのかな・・・。うーん、薬を使っている自分っていうのは、おぞましくて、人に話すのも嫌だったけど、それは自分の一部で、仲良くしたり、こういう自分でもだいじょうぶやって思えるようになりましたからね。そこがいちばん変わったところだと思います。
「薬を使ってなかったら」って思ったこともあったけど、僕はやっぱりアディクションに助けられていたんですね。それで自分は死なずにすんだんだと思うんです。もちろん、薬を使い続けてたら死ぬし、薬のことを呪つてたけど、仕方がなかったのかなと。「使ってよかったな」とまでは言いたくないんですけど、そうじゃなかったら、ずっと取り繕った人間関係の中で生きてたかもしれないし、やっぱり、絶対、使っていたと思うんですよね。それでここに来れたから、「使ってよかったな」って言えるのかな(笑)。
―これを読んでいる、まだダルクにつながっていない人たちに伝えたいことは。
「ひとりではない」ということと、「絶対、なんとかなる」ってこと。
本当は認めるのが怖かったんですけど、「もう無理や」と思ってたんです。死ぬか、記憶を消すか、とにかく、記憶がなくならん限りは、このアディクションの欲求から逃れられないと思ってたんですけど、そんなことはないんですよね。「もう治らん」って。まぁ、治らないんですけどね。「もう終わりや」ってあきらめてたんですけど、「そんなことはない」って、ここに来てたった一年でも思えるんす。

――では、さいごに未来の自分へのメッセージをどうぞ。

今まではあせって、薬の問題とかもほったらかしにして、駆け上がるように生きてきたけど、それをやめて、一日一日を必死で生きているので、今、想像ができないような幸せな自分になっていると思っています。先への不安はあるんですけど、今、自分にできることをやる。・・・いい未来になっていると思います。

大阪ダルク ナオ

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現在はアティクションから自由になった当事者スタッフです。

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